来季に向けたアーセナルの3つの課題
シーズン開幕当初の予想は少々上回っていたかもしれないが、プレミアリーグのシーズン35試合を終えた時点で久々のCL出場権獲得に向けて絶好のポジションにつけていたが、そこからトッテナムとニューカッスル相手に連敗を喫してしまい、まだ最終節は残っているものの、今季は5位フィニッシュが現実的となってしまったアーセナル。
来季さらなるステップアップを果たすうえでどう対処するかが重要となると予想される、現状のチームが抱えた課題を考察する。
①スカッドの層の薄さ
これは今季終盤まで待つまでもなく、冬の段階で指摘されていたこと(だからこそ冬の移籍市場は悔やまれる結果だった)だが、今のアーセナルには安定して出場機会を得ている選手が11人+数人程度しか居ない。
直近数シーズンで短期的な将来を見据えた補強が多かったため、近年のアーセナルは過剰人員を抱えており、スカッドのスリム化に乗り出さなければならない状況だった。
契約の打ち切りなども駆使しつつ高給のベテラン選手などの放出を行ったことは致し方なく、今後アーセナルの将来のスカッド作りの基盤にはなってくれるだろうが、かなり放出が先行したため、ローテーション要員や控え選手の数が非常に少なくなってしまった。
欧州コンペティションがなければほぼスタメン固定で好成績を収める、というチームも過去にはあったため、抱えている選手の怪我の多さなどにもよるのだろうが、今季のアーセナルのスカッドはプレミアリーグを戦うのにもギリギリ、といった様相を呈している。
来季は欧州コンペティションも並行して戦わなければならないことを考えると、主力の大型補強だけでなく、控えを務められるような選手の補強も必要だろう。
現状ローンに出ている選手でアーセナル復帰の可能性がありそうなのはウィリアム・サリバとリース・ネルソンくらいで、ユース選手の昇格も視野に入れつつ、もう少し層の厚さを確保したいところだ。
確かにシーズンの後半にティアニー、冨安、パーティという絶対的な主力が離脱となったのは少々アンラッキーだったかもしれないが、ティアニーと冨安はこれまでのキャリアを通して怪我に悩まされることが多い選手で、来季以降突然38試合休まずフル出場してくれるだろう、と期待するわけにもいかない。
パーティはアトレティコ時代には怪我が非常に少なかった選手だけに残念かつ少し不可解だが、アーセナル移籍後に限ってみれば彼も同じく怪我がちであり、パーティが居なければ機能しない、というシステムを中心にチームを構築するのはハイリスクなものとなってしまいそうなので、特に中盤の補強は急務と言えそうだ。
②でより詳しく触れるが、試合途中の交代オプションの不在や、敗戦を喫した次の試合で少しメンバーを入れ替えて臨む、というような戦略をとることが出来なかったのも今季のアーセナルにとっては痛かったように思われる。